教員紹介

助教 佐合 悠貴  Yuki Sago 農学部

研究紹介

高収益で環境負荷の少ない植物工場を目指した植物生理機能の計測とモデル化

施設園芸は、露地野菜が生産できない時期に新鮮な野菜を消費者に提供する目的で発展し、収量・品質の向上や軽労化による農業収益の増大に貢献してきました。近年では、植物工場のように栽培環境の高度な制御により、計画的な周年生産を可能にし、さらなる高収益化を目指した生産方式も増えてきています。これらの先端的農業では、植物の生理機能に基づいた適切な栽培環境制御による、より高収益で環境負荷の少ない植物生産技術の確立が求められています。そこで私は、環境制御のための情報として欠かせない植物の生理機能に対する環境作用の計測・モデル化について研究しています。

これまでの研究では、植物生産にとって重要な、植物の根による吸収機能に着目し、研究を展開してきました。農業の生産現場では、肥料資源の枯渇と肥料コストの高騰、過剰施肥と富栄養化、環境ストレス下(高温ストレス、水ストレスなど)での生育障害、乾燥地畑土壌の塩類化などの根の養水分吸収機能が密接に関与する重要課題群の解決が求められています。しかしながら、植物の根は地中に広く拡がって存在するために、把握が困難な研究対象であり、生産現場の問題を解決するための情報が不足しています。そこでまず、根の養水分吸収速度の計測装置を構築し、根の養水分吸収機能に対する根域環境の影響を調べました。さらに、根の養分吸収に対する蒸散の影響を考慮した新規の速度論的モデルを構築し、根の養分吸収と環境要素との関係を定量的に解析しました。これらの研究により得られた情報を利用することで、合理的な肥培管理による環境負荷の低減など、実際の栽培現場における実用的技術の開発が期待できます。

植物工場は、現在の農業が抱える、食品安全への不安、環境汚染、地球温暖化、エネルギー・水資源の不足、農業就業人口の減少などの問題に対応できる可能性のある生産方式です。一方で、コストや栽培技術に未だ解決すべき課題もあります。山口大学には環境(光、温度、培養液条件など)を完全制御できる植物工場研究施設があります。この施設で、植物の環境生理反応を計測・モデル化に関する研究を展開していくことで、実用的な植物工場技術の開発への貢献を目指します。

植物工場で栽培中のリーフレタスとサラダナ

佐合(さごう)助教の略歴

2011年3月  九州大学大学院生物資源環境科学府博士後期課程修了 博士(農学)
2011年4月  日本学術振興会特別研究員PD(九州大学)
2012年3月  豊橋技術科学大学工学研究院 博士研究員
2013年8月  山口大学農学部附属農場 助教(テニュアトラック)